『夫の介護したくない』はおかしくない。60代妻が共倒れしないための選択

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同世代の友人たちが「夫の介護を始めたの」と話すのを聞くたびに、胸が重くなる。

「私には夫の介護なんて、とてもできない」――そう思ってしまう自分を責めていませんか?

長年の結婚生活で積み重なったわだかまり、言葉の暴力や感謝されなかった日々。
その記憶は、そう簡単に消えません。
「夫の介護をしたくない」と思うのは、決してあなた一人ではないです。

大切なのは「無理をして自分を壊さないこと」。
介護は家族だけが背負うものではなく、専門家や施設に頼るのも立派な選択肢です。

この記事では、介護施設看護師のあづさが、「介護したくない」理由を分析して、介護をしないですむ解決方法、親戚に詰められた時のうまい返しかたなど、を解説してます。

あづさ

わたしも看護師としてたくさんのご家族と関わってきましたが、
夫婦のかたちもそれぞれです。
本当は関わりたくない、と関わりを拒否されてるかたもいらっしゃいました…

「どうすればいいのかわからない」かたは、老人ホーム検索サイトで情報を集めてみるのもひとつの方法です。

費用や施設の特徴を比較できるので、“自分と夫のこれから”を冷静に考えられます。

60代の体と心に、限界があるのは当たり前

目次

【60代妻の本音】夫の介護をしたくない理由

60代夫の介護をしたくない理由
【60代妻の本音】夫の介護をしたくない理由

「夫の介護を拒む自分は冷たいのでは」と不安に思う方は少なくありません。
でも実際には、多くの女性が同じ気持ちを抱えています

長年の不満や仕打ちがあるから

夫から「ありがとう」と言われた記憶が思い出せない。
毎日の食事や洗濯、子育てに追われてきたのに、感謝どころか「それが当たり前」と言われてきた。

そんな日々の積み重ねは、こころの奥でしこりのように残ります。

人は弱った時こそ、これまでの関係が鏡のように映し出されるものです。
長年の不満や仕打ちを飲み込み続けてきた妻にとって、「今さら介護まで」という思いがわいてくるのは自然なこと
決して冷たいのではなく、それは“積み重ねた現実の結果”なのです。

夫婦仲が冷え切っているから

夫婦といえども、人と人。
長い時間をともに過ごすうちに、会話が減り、笑顔を交わさなくなり、ただ同じ家にいるだけ――そんな夫婦関係も珍しくありません。

いまさら「夫婦だから支えあうべきだ」と言われても、心の距離はすぐに縮まりません。

すでに冷え切った関係に、突然「介護」という重い現実がのしかかれば、「どうして私だけが」と思ってしまうのはむしろ当然です。

自分を犠牲にしたくないから

60代になると、自分の体力や健康に不安を覚え始める年代です。
「これからは趣味を楽しみたい」「気のあう友人と出かけたい」――そうした願いを抱くことは、決してわがままではありません。

「介護に縛られて老後が終わってしまうなんて嫌だ」という気持ちは、ごく自然で健全なこと。

誰かを介護するために自分の人生を丸ごと差し出さなければならない、そんな決まりはどこにもありません。

過去のわだかまりが消えない

過去のわだかまりが消えない
過去のわだかまりが消えない

60代の今になっても、過去の言葉や態度は鮮明に心に残っています。

ことばの暴力の記憶 「お前なんか」「誰のおかげで」

――何度も浴びせられた言葉は、いまもこころを刺し続けます。
「お前なんか」「誰のおかげで暮らせているんだ」
そんな言葉を浴びせられた記憶は、年月が経ってもこころに突き刺さったままです。
表面上は忘れたように過ごしていても、いざ介護という現実に直面すると、その記憶が再び顔をだします。

傷ついたこころは簡単には癒えません。

むしろ年齢を重ねるほど、当時の孤独やつらさが鮮明に思いだされ、「そんな夫の介護まで背負うのか」と気持ちが揺れてしまうのです。

感謝されなかった日々

家事も育児も当たり前のように押しつけられ、認められなかった悔しさが残っています。
朝から晩まで家事に追われ、子どもを育て、家計を支える工夫もした。
けれど、その苦労に「ありがとう」と声をかけられたことはなかった――。

人は認められることで頑張れるものです

感謝されなかった日々の積み重ねは、「これ以上、私ばかり犠牲になりたくない」という強い拒絶心を育てます。
介護をためらう気持ちは、当たり前です。

夫への信頼を失った年月

「どうせまた…」という思いが強く、介護を受けいれる余地を奪ってしまうのです。
「どうせまた文句を言われる」「どうせわかってくれない」。
そんな思いがこころに根を張ってしまえば、夫を支えたいという気持ちは育ちにくくなります。

信頼は一朝一夕では取り戻せません
若い頃からの積み重ねが、いまの関係を形づくっています。

介護をこばむ気持ちは、その信頼の欠落を映しだしているだけで、決して不自然なものではないのです。

無理に抱え込むと共倒れになる

無理に抱え込むと共倒れになる
無理に抱え込むと共倒れになる

「夫婦だから」と我慢してしまうと、最後には自分が倒れてしまう危険があります。

体力的な限界

自分も高齢。夜のつき添いやからだを支えるのは、現実には難しいことです。
60代といえば、自分の健康だって気にかかる年代です。
腰や膝に痛みを抱え、夜中に何度も起きて介助する体力など残っていない――そう感じるのは当たり前です。

介護は若いひとにとっても大変な仕事。

高齢の妻がひとりで抱えこむのは、現実的に無理があります。

こころの限界

「もう我慢できない」というこころの悲鳴を無視し続ければ、うつや不眠にまでつながります。
介護は体だけでなく、こころも削ります。
「また今日も」「もう我慢できない」――そんな気持ちを押し殺して続ければ、こころが悲鳴を上げるのは時間の問題です。

その結果、不眠や食欲不振、さらにはうつ状態へと進んでしまう人も少なくありません。

こころが壊れてしまう前に「できない」と声を上げることは、決して逃げではなく、自分を守るために必要な行動なのです。

子どもに迷惑をかけるリスク

無理して共倒れすれば、結局は子どもたちにしわ寄せがいってしまいます。
「夫婦なんだから私が看なければ」と無理を重ねた結果、妻自身が倒れてしまうことがあります。
そうなれば結局、子どもたちが介護も看病も担うことになり、かえって迷惑をかけてしまうのです。

子ども世代にしわ寄せを残さないためにも、無理をしすぎないことが大切です。

介護をひき受けすぎないのは、家族全体を守ることにもつながります。

専門職に任せるのは「逃げ」ではなく「守る選択」

専門職に任せるのは「逃げ」ではなく「守る選択」
専門職に任せるのは「逃げ」ではなく「守る選択」

「施設に預けるなんて冷たい」と思う人もいます。
でも本当は、プロに任せるからこそ夫も自分も守れるのです。

介護のプロは知識と経験がある

専門職は、家族では思いつかない視点で介護を支えてくれます。
転倒防止の工夫や、服薬管理、夜間のケア――どれも家族にとっては難しいものばかり。
経験を積んだスタッフに任せることで、夫も安心して暮らせる環境が整います。

妻は“妻のまま”でいられる

介護をになうと、妻は「妻」ではなく「介護者」として見られるようになりがちです。
でも施設や専門職に任せれば、妻は妻のまま、家族としての立場を守れます。
介護の手から解放されて初めて、夫と向きあえるという人も少なくありません。

夫の生活の質が高まる

プロの介護によって、夫は清潔で安全な環境を保てます。
入浴や排せつのサポート、適切なリハビリ、医療的なフォロー――これらが整うことで、生活の質は格段にあがります。

妻ひとりで無理に抱えるより、プロに任せるほうが夫にとっても幸せ。

これは冷たい選択ではなく、むしろ愛情のひとつの形なのです。

夫の介護を自分で抱え込まないための3つの選択肢

介護を自分で抱え込まない3つの選択肢・公的機関で相談・介護サービス・施設に入所
夫の介護を自分で抱え込まないための3つの選択肢

介護を自分ひとりで抱え込まない3つの選択肢を紹介します。

公的機関で相談する

介護保険サービスを利用するには、地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談が第一歩です。
専門家に相談することで、どのサービスを使えば自分の生活と両立できるかが明確になります。

最初に調べるのは「地域包括支援センター」

  • 設置場所:各市区町村に必ずあります。
  • 調べ方
    • 市区町村の公式サイト → 「地域包括支援センター」で検索
    • 役所に電話して「地域包括支援センターを教えてください」と聞く
    • 厚生労働省のサイトや都道府県の福祉課のページから一覧にリンクされていることも多い
市町村役所に聞くならここ
  • 高齢福祉課(長寿課・介護福祉課など名称は自治体によって異なる)
    → 介護保険や高齢者支援を担当している課です。
  • ここで「介護保険の利用を検討している」「地域包括支援センターを紹介してほしい」と伝えれば、最寄りの窓口を教えてもらえます。

具体的な流れ

STEP
住所の市区町村役所の高齢福祉課に問いあわせ
STEP
地域包括支援センターを聞く

自宅住所を伝えると、担当の 地域包括支援センター を教えてくれる

STEP
地域包括支援センターに連絡
STEP
ケアマネジャーと相談
STEP
必要な介護保険サービスの調整へ

つまり、出発点は
👉 市区町村役所の「高齢福祉課(介護保険課)」
👉 または 直接「地域包括支援センター」

在宅介護サービスを利用する

デイサービスや訪問介護を利用することで、自宅にいながらプロのケアを受けられます。
「日中だけ預けたい」「週に数回だけ利用したい」といった柔軟な使いかたもできるので、仕事をしながら介護に関わりたい人におすすめです。

在宅サービスの種類

訪問介護(ホームヘルパー)
 掃除や買い物、食事づくりなど日常生活のサポートをしてくれます。
 家に人が来てくれる安心感も大きいです。

訪問看護
 医療的なケア(服薬管理、体調チェックなど)を看護師が行ってくれるので、「医療のことは任せられる」とこころ強いです。

デイサービス
 日中に夫が施設に通うことで、あなたは趣味や買い物に時間を使えます。
 夫にとってもリハビリや交流の場になるので一石二鳥。

ショートステイ
 数日〜数週間、施設に預けられるサービスです。
 「自分の体調が悪いとき」「旅行に行きたいとき」など、安心してリフレッシュできます。

施設にお願いする(老人ホーム・特養など)

介護度が高くなるほど、家族だけでの対応は難しくなります。
施設に入所してもらうことは「逃げ」ではなく、夫の安全と生活の質を守るための前向きな選択肢です。

特養・老健・サ高住など、夫にあった環境を選ぶことで安心が得られます。

施設にはいくつか種類があります
  • 特別養護老人ホーム(特養)
    介護度が高いひとでも、生活全般の支援を受けられます。費用も比較的抑えられるのが特徴です。
  • 介護老人保健施設(老健)
     医療ケアやリハビリが充実しており、「在宅に戻るまでの一時利用」として利用できます。
  • 有料老人ホーム
     住宅型〜介護つきのホームまで幅広くあります。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
     比較的廉価な住宅型の施設がおおく、見守りや生活支援サービスを受けながら安心して暮らせます。

それぞれに特徴や費用の違いがあるので、まずは比較してみるのがおすすめです。

介護度別 施設 費用 比較
出典:ぬくもりライフナビ

「でも、具体的にどう違うの?」と思ったかたは、こちらの記事▼▼で詳しく解説しています。

老人ホーム検索サイトを使えば、費用の目安や空き状況をまとめて確認できます。

60代の体と心に、限界があるのは当たり前

安心して老後を過ごすために、まずは情報から

親戚や周囲に責められたときのうまい返しかた

親戚や周囲に責められたときのうまい返しかた

親戚や周囲から「冷たい」と言われても、落ち着いて返せる言葉があれば安心ですよね。

「奥さんなんだから、最後まで看るのが当たり前でしょ」

「それが理想かもしれませんね。
でも、無理をして私まで倒れてしまったら、夫も困りますから。
だからこそ、専門のかたに助けてもらおうと思うんです」

「施設に入れるなんて冷たすぎるわよ」

「そう見えるかもね。
でも、専門職に支えていただくことで、夫が清潔で安全に過ごせるんです。
私も妻として笑顔でいられる時間を持てるので、それが夫のためだと思っています」

「自分の夫なのに、責任を放棄するの?」

「放棄ではなく“分けあう”つもりです。
家族だけで抱えるより、プロと協力するほうが、結果的に夫のためになると思ってます」

「そんなことしたら、子どもに恥をかかせるわよ」

「無理をして私が倒れたら、子どもに迷惑をかけてしまいますから。
子どもたちの負担を減らすためにも、施設にお願いすることが大切だと思っています」

「夫婦なのに冷めてるわね」

「夫婦の形はいろいろですから。
介護のすべてを担うことだけが“夫婦の絆”ではないと思うんです。
私は妻として、できる範囲で支えていきたいんです」

誰かの人生を丸ごと背負うことはできません。
だからこそ、専門家のちからを借りることで、夫は安全に暮らし、妻は「妻」としての関係を続けることができます。

「逃げている」と思う必要はありません。
あなたが笑顔でいられることが、夫にとっても子どもにとっても、何よりの安心になるのです。

まとめ

過去のわだかまりを抱えながら「夫の介護なんてできない」と思うのは、ごく自然な感情です。
60代という人生の節目だからこそ、「自分の残りの時間をどう過ごしたいか」を考えることが欠かせません。

無理に「介護しなければ」と自分を追い詰める必要はありません。

施設や専門家のちからを借りることで、あなた自身の人生を守りながら、夫婦それぞれにふさわしい老後を選ぶことができるのです。

「でも、どんな施設があるのか、わからない」と感じたら、老人ホーム検索サイトをのぞいてみてください。
費用や特徴を比較でき、プロに無料で相談できるので、罪悪感にとらわれずに冷静な判断ができます。

👉 まずは一度、施設検索サービスで情報を見てみませんか?

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この記事を書いた人

施設看護師。
現場にいる看護師目線で介護のお悩みの解決や、シニアの住まいの選び方を発信してます。

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